日本の近代写真術の基礎を築いた写真家、田村榮(1906-1987)。
そんな田村に師事し正統な写真術を継承した写真表現者のひとりに安斎勇(1919-2005)がいます。
「黒白写眞暗室学校」は、安斎がその制作活動の拠点を
東京から水戸に移し、1958年(昭和33年)に創業した写真店「みかど商会」に端を発します。
奇しくも安斎が選んだ場所の水戸は日本における写真術の黎明期に
写真術を嗜んだとされる徳川家第15代将軍徳川慶喜公ゆかりの地でもありました。
それからおよそ半世紀、2001年(平成13年)に写真館「みかど商会」は、安斎の引退により終了・閉鎖。
撮影スタジオであった天井の高い建物は、その後、展示・発表空間として
数多くの若きアーティスト達に、無償で作品発表の場を提供してきました。
同じころ東京では、コマーシャルフォトグラファーを経て広告企画事務所を営んでいた安斎勇の長男
安斎栄が父親より継承していた暗室技術を後世に伝えるために「世田谷黒白写眞暗室」を設立。
大学の美術研究機関はじめ、近代写真術の習得を望む人たちへの指導を開始しました。
2011年3月に発生した東日本大震災において水戸市もまた甚大な被害を受けましたが、それを契機に
街の復興を目的として「世田谷黒白写眞暗室」と同様の機能を安斎栄の故郷である水戸にも拡張。
それが「黒白写真暗室学校」の出発点となります。
現在「黒白写真暗室学校」は、現存する正統な暗室技法の継承の場として
県内外からも生徒が集まり、その活動の幅を広げ続けています。
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